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第031回 「草原の輝き」エリア・カザン
 ハイスクールに通う若い男女の無垢な恋心。誰しもその純情を好感し,彼らに自分の青春を重ね合わせる。
この映画に出会ったのは20代のフランス留学時だった。花の都パリはあたかも魔性の女のように訪れるものすべてを魅了する。しかし,周囲が華やか過ぎるがゆえに,ひとたび疎外感にさいなまれれば陥る孤独の谷はきわめて深い。主人公ナタリー・ウッドの瞳に自然に引き込まれたのは,やはり鬱々たる日常の中で無意識に癒しを求めていたからだろうか。
 将来を誓い合う二人。だが,眩いばかりの青春の輝きは閃光のようにはかない。純粋さはときに互いの感情に亀裂をもたらし,生じた葛藤は容易に消え去ることはない。青春時代の彷徨をあとから客観視するのはたやすいが,その渦中では誰しも悩み傷つきながら出口の見えない大人への階段を上がっていく。
 大恐慌がもたらした社会の混乱が収束に向かう中で,二人はそれぞれ別の伴侶との新たな人生に踏み出す。そして,彼女がウォーレン・ビーティ演じるかつての恋人に今,幸せかと問いかけるラストシーンは本当に感動的だ。人は過去との折り合いをつけなければならない。意のままにならぬ運命に翻弄されながらも。
(調布市長 長友 貴樹)





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