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第023回 「パルシネマしんこうえん」オーナー 小山康之さん
日常に映画の歓びを
「史跡の街にある普段着の映画館」
南北朝時代の合戦地、湊川(神戸市兵庫区)。現在、その地は公園として市民の憩いの場となっています。また、公園の周りには商店街が健在。休日の昼下がりともなると、買い物客のにぎやかな声が聞こえてきます。この公園の下に位置するのがパルシネマしんこうえん。今回は、オーナーの小山康之(64)さんにお話をお伺いしました。
「日本映画全盛期」
公園内にあった前身の劇場の歴史は、第二次大戦後直後にまで遡ります。当初は、映画館ではなく芝居小屋であったそうです。そして日本映画が全盛期を迎えようとしていた昭和30年代初め、寄席を経て映画館に衣替えします。「当時の正月・お盆は、お客様が一杯で場内へのドアが閉められないほどでした」そう語る小山さん。ご両親が劇場オーナーであったため、小さい頃から劇場の運営を見てきたそうです。子どもの頃、小山さんが観た映画でよく覚えているのは時代劇。「鞍馬天狗」「右門捕物帖」の嵐寛寿郎や、「一心太助」の中村錦之助、そして片岡千恵蔵、大友柳太郎・・ときら星のようにスターが銀幕を彩っていた時代でした。そして1971年に公園の全面改修で公園の下に再建され、洋画画の二番館に。
「仕事としての映画」
小山さんが映画館の仕事を手伝い始めたのは、1980年の半ば。最初のうちは、学生時代にアメリカで学んだ写真の仕事との掛け持ちでしたが、やがて、親の後をうけてオーナーに。「仕事として数多く観るようになって、映画が本当に好きになりました」とのこと。小山さんは、上映作品を選ぶために、年間250本以上の映画を観ているそうです。「良い映画を観ることが、お客様の日常生活の一部になってもらえれば」そう願う小山さんが選ぶ作品は、大作や話題作と言うよりも、小粒だけど心に残る良質な作品。そして、「アラビアのロレンス」をはじめとする名作のリバイバル上映も定期的に実施。お客様に安心して観ていただける作品選びを心がけているとのこと。劇場には、小山さんが選んだ作品を楽しみに訪れるリピーター客も増えてきました。そんな矢先、天災が起こります。今から14年前の阪神大震災。
「再開(再会)の歓び」
震災後、劇場は約二ヶ月に渡って休館を余儀なくされました。電車が不通のため、小山さんは家から3時間かけて劇場に駆けつけます。建物の崩壊は免れましたが、悲惨な状況で映画どころではなく営業は不可能。そこで、入口に手書きの休館告知を張ることに。これが、思いがけずお客様との貴重なコミュニケーションの手段となっていきます。張り紙の空きスペースに、心配して劇場を訪れたお客様が書き込みをはじめたのです。「建物があって安心しました」「再開(再会)を楽しみにしています」多くのお客様が書き記した寄せ書きを、小山さんは今も大切に保管しています。 「いつでも気持ち良く、普段着で映画を愉しんでほしい」そう語る小山さん。劇場名の「パル」とは英語で「仲間」という意味とのことです。
(取材:四葉昌)
【パルシネマしんこうえん:http://www.sam.hi-ho.ne.jp/dragonfly/
TEL.078-575-7879





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