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第017回 「シネマヴェーラ渋谷」館主 内藤篤さん
「新しさと懐かしさが共存した街、渋谷」
 文化や流行の最先端を行く街、渋谷。今日も駅前広場は、夢を追い求める若者たちの姿で賑わっています。そんな人々の待ち合わせ場所、ハチ公前。そこに最近、懐かしい電車が展示されるようになりました。それは「青ガエル」の名前で沿線の人々から親しまれていた東急5000系電車。この電車が引退してずいぶん経ちますが、電車にまつわる思い出を抱いている人も少なくないのでは。今回ご紹介する内藤篤館主も幼い頃、電車に揺られて渋谷の街を訪れたそうです。そして、渋谷での思い出、それは映画鑑賞でした・・・

「法学部に入ったけれど」
神奈川県で生まれ育った内藤さんの映画初体験は、今は無き東急文化会館。「親戚が渋谷に居たので、親にせがんで連れていってもらいました」、その頃観た作品で印象に残っているのは「海底2万マイル」をはじめとするディズニー作品、「ゴジラ」や「ガメラ」などの怪獣シリーズであったそうです。そして、都内の高校に進学した内藤さんは学校帰りに名画座へ足繁く通うようになりました。文学や映画に漠然と感心はありましたが、「特に深く考えることなく」大学は法学部を選んで、東京大学法学部に進みました。しかしそこで蓮實重彦先生の本と出会い、強い影響を受けます。決定的に映画に魅了された内藤さんは、法学部のある本郷から蓮實ゼミのある駒場へ通います。「一年半ほどもぐりでゼミに参加しました」。
「法と映画」
音楽から映画にとどまらず、幅広くエンターテイメント全般に関わる法律業務を取り扱っている内藤さんは、やがて全国各地で上映会活動をしている人々の団体、コミュニティー・シネマ支援センターの世話役に就任します。「今から10年ほど前のことですが、その頃は、自主上映団体と地元の映画興行会社との間でいろいろありまして」、ここで内藤さんの専門分野の法律が大きな力を発揮します。やがて、この活動で知り合ったユーロスペースの堀越社長に、名画座をつくりたい、という話を持ちかけます。「映画を人に観せることは、映画を観ることと同じように面白いかも」そう思った内藤さん。そして、昨年オープンしたのがシネマヴェーラ渋谷。
「観る側から、観せる側に」
 法学部を卒業した内藤さんが選んだ道は弁護士。就職活動でいくつかの弁護士事務所を訪問していた時、ファッションブランドライセンス(商標など)を取り扱っている事務所と出会います。「権利関係の問題をあつかっていることに妙に惹かれました」、はからずもこの選択が、内藤さんを映画へと結びつけることに。最初のうちは、直接音楽などの知的所有権関係の権利問題や契約書作成の仕事に従事していた内藤さん。そんなある日、映画の仕事の依頼が。最初の映画の仕事は、今をときめく一瀬隆重プロデューサーの依頼でした。Vシネマの日米協同製作についての契約書作成が内藤さんの仕事でした。
「伝えたい」
上映作品を選ぶにあたって内藤さんは、自分の主観を大切にしているとのこと。「直感といいますか、まず、面白い映画、いい映画、と自分が思える映画を選んでいます」。ホームシアターが普及し始めている昨今、名画座の運営には厳しい現実もあるとのこと。しかし、「見知らぬ第三者と共感しあえる空間を大切にしたい。そして映画の素晴らしさを伝えていきたい」その思いを胸に、映画ファン館主の活躍は続きます。
(文:木村昌資)
【シネマヴェーラ渋谷:http://www.cinemavera.com/





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